第9章 ドブガイの繁殖について

ドブガイは溜池などでは、当然成長し繁殖しています。しかし、水槽などで飼育すると、成長も繁殖もしていないのです。実は、ドブガイはいまだに何を食べているか本当のところよくわかっていないのです。

貝の専門家に聞きますと「プランクトンは確かに胃の中に入っているけど、消化しているかわかっていない」といわれるのですね。それよりも葉っぱが落ちて、腐敗した有機物がありますね、それらを実際食べているのじゃないか。動物プランクトンも可能性としてあります。貝の胃に入っているからといって、それを食べているかどうかわからないし、消化しているかわからない。淡水二枚貝が何を食べているかわからないということは貝の繁殖を人工的にうまくやろうと思ってもできない。自然池にドブガイを入れて環境を守っていかないと繁殖ができないわけです。そういう状況です。

だからニッポンバラタナゴを実際保護しようと思えば貝の繁殖をいかにうまくするかということなんですね。そうなると池の環境全体をいかに保全するかということになります。

溜池にいるプランクトンを少し紹介します。

これは動物プランクトンです。ミジンコの仲間のケンミジンコと普通のミジンコです。
植物プランクトンよりも大きいので、ビンに入れて観察すると、動いているのがよくみえます。

また溜池に棲んでる植物プランクトンは大きく分けて3種類あります。

これは緑藻(リョクソウ)のグル-プのアオミドロです。池で、藻が細かい筋ででてきているのはこのアオミドロです。

この写真はイカダモ、クンショウモ、これも緑藻の仲間です。

これらは珪藻(ケイソウ)のグル-プです。ガラスの成分を取込んでいるので珪藻という名前がついているらしいです。 大きく分けて2種類目です。

この写真が藍藻(ランソウ)で、1番原始的なタイプの藻類です。これは細菌、バクテリアと同じようなタイプの生物です。 身近で見るものには、アオコがあります。アオコは藍藻のグル-プに入ります。ネンジュモというものもいます。

今あげた3つの種類の植物プランクトンですが、ドブガイの餌はこの3つのうちのどれか?ということを生徒達と調べたことを説明します。

これはドブガイの体です。食道・胃・腸がずうっとつながっていて、肛門まで一本の管のようになっています。だからこの消化管をとって何を食べているか調べたらいいじゃないかということになっても、そう簡単にはいきません。

保護池のプランクトンの種類と量です。緑藻のグル-プがこれだけあります。珪藻の仲間もこれだけいます。藍藻の仲間もいます。大量にいろんな種類の藻類が自然に発生してきます。川から水を入れるとこういう形で藻類は入ってきます。

データ(1) ではドブガイは何を食べているかというと、池の中では緑藻や珪藻があります。藍藻はほとんどないのですが、落ち葉などの有機物もあります。生徒達との研究なんですが、貝の食性を考えるデータ(1)では、貝の口から胃にあったのは緑藻と珪藻です。有機物も入っていますが、割と減っています。

データ(2) どうもドブガイは緑藻と珪藻を大分集めているみたいなんですね。最終的に肛門付近を調べて見ました。そうしますと緑藻は分解されずにそのまま出てきています。何が分解されているかといいますと珪藻なんです。 データ(2)顕微鏡写真を見るとほとんど珪藻ばっかりつぶれています。細かく分解されています。これらのことからドブガイが何を食べているかという答えは、珪藻じゃないか?という事がいえると思います。これまだ内緒ですよ。

前へ(第8章 集団の変化を調べる) | 次へ(第10章 愛宕トラスト市民協議会のデ-タ)