第4章 ドブガイに托卵されたタナゴの卵

これがドブガイです。産卵のあと、卵がどういう形で入っているかをちょっと説明します。
まず入水管から水がはいります。水が入ってきて、エラを通って、エラの上のところに水を流す管がありまして、そこから出ていきます。だいたい、水はこういう流れになっています。

略式に描くと図のような感じになるわけです。それで、メスは水の出るところから、卵を入れてその後にドブガイのエラの中に卵がすっと入っていくわけです。精子の方は水の吸い込み口から入って行くので、たぶんエラで受精しているだろうと思います。

これは発生の様子です。
「長田芳和監修 福原修一著 貝に卵を産む魚 (2000) トンボ出版」より引用。 生みこまれた卵は電球みたいな形ですが、発生が進むと突起物を出した変わった形になっていきます。また、卵を持っているメスのお腹を、指でキュッと押し出すと簡単に出てきます。

これはエラの中に入っている状態のタナゴの卵です。このときは、大体100個ほど卵が入っていました。黄色くみえるところが卵で、タナゴの仔魚の目玉も確認できます。大体産卵後1週間ぐらいで眼が形成されてきます。充分成長する(約7mm)と、貝が水を出すところ(出水管)から泳ぎ出てきます。

これは、野外で撮影したタナゴの稚魚です。(約12mm)

 

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