第11章 タナゴのいる池といない池

今までに実際に生物が多く生息している池と全然生息していない池の違いを写真に撮ったもので見てもらおうと思いますが、写真の技術が下手でうまく撮れていませんが…。

これは大窪の保護池です。繁殖は最高の状態です。

これは保護池の近くの池です。ここはいい状態です。ニッポンバラタナゴもドブガイも繁殖しています。

ここは少し大きい池です。ニッポンバラタナゴもドブガイもいない池です。これは全部樋を抜いて掃除した池ですが、ここへ、ニッポンバラタナゴもとドブガイを入れたらたぶん繁殖するだろうけれども、ブル-ギルを放りこまれる可能性の高いタイプの池です。

ここは以前いてたんですが、段々貝も採れなくなり、ニッポンバラタナゴも採れなくなって、モンドリをいくら仕掛けても入らないのです。 モツゴという魚がちょっと残っているぐらいで、段々悪化してきている池です。この池は樋を抜いて水を替えて、ヘドロを流せば元に戻る池です。僕はこの池をもとに戻したいなと思っているんですが、なかなか樋が抜けない。底樋を抜くのは大変な作業ですが、底樋が抜けたらこの池は元に戻ると思います。

この池はオタマジャクシばっかりですね。たぶんこの池も底樋を抜いて掃除をすれば元に戻ると思います。

ここの池はちゃんと残っています。ちょっと小型のタイプの池ですね。

これから出てくる池はどういう理由でいないのか、あまり良くわからないのですが、農業用水として池の水を全然使っていない場所なので、水質が悪くなっているということが理由のひとつとして言えると思います。もうひとつはこの辺は全部ブル-ギルやブラックバスが入っていることです。

ここの池で以前ブラックバスがいたのを僕は見ていますが、最近見ませんでした。この地域の池としては水はきれいな方だけど、全然ニッポンバラタナゴは棲んでいないです。ドブガイもいません。

いる、いないの違いはパッと見ただけではわからないのですが、基本的に残っている池というのは、わりとオ-プンな場所で、つまり人手が入っているということですね。昔、ため池というのは田んぼに水を入れる。その時にため池の中のヘドロを流す。これをドビ流しと言っています。田んぼの中に池の有機物を入れて、田んぼの肥料として利用する。これを毎年繰り返されていまして、ずーと元の状態に戻っていました。こういった形がこの地域の基本的なため池の使い方らしいです。

今、大概の池は20年から40年間底樋を抜いていない。底樋が抜けたら、ヘドロが流れ出し、池の水がきれいになってきます。20年から40年間底樋を抜いていない池のヘドロはすごい量が溜まっています。実際に神宮寺の池にいかれてヘドロを除去されるとしたら、2mぐらいたまっていると思います。小さい池でも1mのヘドロ、20年から30年ほったらかしの池のヘドロを流して元に戻すとなると並大抵なことではありません。

この地域の池は、全部ドブガイが繁殖していない池です。

この池は今実際タナゴがいますが、持ち主のかたが樋をまったく抜かれないで、放っていますのでヘドロがものすごく溜まってきて、土手の一部分に穴が開いて水が漏れ出している状態です。ここ15年ずうっと調査を続けていた池なんですが、このままだともうすぐ死んでいく池です。
ニッポンバラタナゴやドブガイが繁殖できなくなってしまう感じの池です。

これは子供達がつくった池です。中高安小学校の花壇だった場所を掘って、ビニ-ルを敷いて土を入れて池をつくっています。すごく良い状態になっています。ニッポンバラタナゴの稚魚がものすごく繁殖しています。こういう形の人工池を子供達がつくりました。

この写真は以前、中高安小学校の子供達と一緒に、この周辺を回った時の写真です。
僕自身は地域の子供達が「こういう魚がすんでいる。こういう自然がある」ということを意識してもらいたいと思っています。それで、みんなと一緒に歩いています。

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