第3章 ニッポンバラタナゴの繁殖行動
これから、ニッポンバラタナゴの繁殖行動を見ていただきます。これは繁殖行動のながれを模式的に示した図です。
※野外で撮影したニッポンバラタナゴの産卵シーンの動画です。
一度ダウンロードしてから観て下さい。(右クリックで対象をファイルに保存) mpeg1 50秒 11M<工事中>
※ニッポンバラタナゴの産卵の様子のアニメーションです。 クリックするとウィンドウが開きます。
一般にはオスがメスを誘導して、ドブガイの上でペアになります。
それから、貝の水のでてくるところを出水孔といいますが、そこを覗きこんで、メスがうまくねらいを定めて、さっきの長い管をこの生きた貝の出水孔にさっと入れる。その直後にオスが放精する。こういう産卵行動です。
これはメスの産卵の瞬間です。ドブガイの出水孔へメスが長く伸びた産卵管を入れています。貝は呼吸をするときに、入水孔から水を吸いこんで、エラを通して出水孔から出します。産卵メスが体の向きを変えて出水管の部分に産卵管を入れているシ-ンです。その後たくさんオスが入ってきて、精子をかけて貝の中で受精するという具合です。
この写真はニッポンバラタナゴのなわばりオスです。
鼻のところが白くなっていますが、「追い星」といいまして、なわばりを持って、他個体とけんかするときに頭突きをするんですね。これは他の魚でも、例えばモツゴでは鼻のところに石みたいなぶつぶつがでてくるわけです。
このなわばりオスのサイズは4cmぐらいです。追い星がものすごく目立っています。
なわばりのサイズは大体30cmから50cmぐらいです。
他個体が入ってきたら、体当たりをして守ります。腹びれのところを見ていただきたいのですが、黒っぽい感じがします。
いつも同じところに、同じ個体がなわばりをもつかといいますと、一概に言えないのですね。毎日、個体を識別して追いかけて見ていますと、なわばりは変わっていきます。
1週間ぐらいは同じ個体がもっている場合もありますが、他のところに移動してしまうこともあるのです。 この写真は最初の写真よりも、実際の池の中の色に近いんですが、バラ色がきれいにでています。
このときは教育大の長田先生とふたりで撮影していたのですが、ついでに水中マイクもセットしたんです。鳴く魚もいるのですが、タナゴは全く鳴かないですね。ただし体当たりした音とかが入っていました。
一日かかって、朝から長田先生と産卵シ-ンを狙っていたのですが、合計4回産卵シ-ンがあったんです。テ-プを変えている時に1回産卵があったりして、ドジってばっかりするんですね。毎回粘って粘ってやっているのですけど、うまく撮れない。でも、このときはうまく撮れました。
前へ(第2章 ため池の他の魚たちとドブガイ) | 次へ(第4章 ドブガイに托卵されたタナゴの卵)